中世西洋音楽とグレゴリオ聖歌に魅せられて


 

中世西洋音楽と吟遊詩人

吟遊詩人とジョングルール

日本では、中世ヨーロッパ各地にあらわれた抒情詩人を総括的に吟遊詩人と呼び、さらにヨーロッパ以外の地域の放浪する口承文芸の担い手についても吟遊詩人と呼ぶことがあります。でも実はこの呼び方は不正確なんです。「吟遊詩人」の訳があてられた中世フランスのトルバドゥールは、放浪の抒情詩人ではなく,創作を本領とする詩人兼作曲家であり、宮廷芸術家のことをいいます。そして作品を持ち歩き演奏した旅芸人は「ジョングルール」と呼ばれていました。ジョングルールは曲芸や奇術、動物使いなどあらゆる種類の見世物芸人全般を指します。

中世の吟遊詩人

11世紀から14世紀くらいまでの世俗音楽の主な担い手は、十字軍の派遣により台頭してきた騎士階級の人たち、あるいは宗教的な束縛からの自由を求めて教会や修道院から去っていった僧侶たちといった知識階級の人たち、いわゆる吟遊詩人です。ヨーロッパの中世というと、キリスト教一辺倒の暗黒時代というイメージがあるので、宗教音楽しか栄えていなかったように錯覚するかもしれません。実際、グレゴリオ聖歌を始めとする優れた宗教音楽が歌われていたわけですが、同時に世俗的な音楽も中世の時代に徐々に発展を遂げていました。中世西洋音楽については、宗教音楽のように教会や修道院により組織的に編纂されたものではないために、なかなか後世には伝えられませんでしたが、それでも11世紀ごろからは解読可能な楽譜が少しずつ増えてきます。

吟遊詩人の時代

吟遊詩人の多くは騎士階級に属する人々でしたが、騎士階級とは中世ヨーロッパの封建制度の中核を担った人々のことで、領主との間で土地を媒介とした契約を結ぶことで封土を与えられる代わりに軍務を提供していました。吟遊詩人の時代とは十字軍の時代でした。こうした双務的契約関係の頂点に立ったのが国王です。こうした人々が、7世紀以来イスラムの支配下に置かれていた聖地エルサレムを奪回すべく、教皇ウルバヌス2世の求めに応じて熱狂的に十字軍に参加しました。彼ら吟遊詩人により、騎士道精神から生み出された女性賛美の思想、英雄賛歌、宮廷や教会などの既成権威の批判、恋愛や酒など現世を謳歌する歌、そして十字軍に関する歌など、様々な内容が歌われました。

吟遊詩人の音楽と歌

吟遊詩人の歌も原則としてグレゴリオ聖歌と同じく単旋律の歌によるものでしたが、当時の絵画などから簡素な器楽伴奏を伴っていたものと推測されています。教会以外の一般民衆の音楽=世俗音楽の始まりといえます。

11世紀頃
フランスにジョングルールという旅芸人らの記録が残っています。彼らは定住せず、村から村へ、城から城へと渡り歩いていた貧しい旅芸人でした。のちに、貴族の従者となって住居も定まり、社会的地位が向上した人々をミンストレルと呼びました。ミンストレルは民衆の音楽芸人の意で主にイギリスで活躍しました。
12世紀頃
南フランス、プロバンス地方のトルバドゥールという騎士階級が、音楽的にも充実した作品を残しました。彼らの多くは特定の城に使えた騎士達で、主に恋愛詩を題材にしました。トルバドゥールの中で最も有名なのは、「獅子王」と呼ばれたイギリスのリチャードⅠ世です。
12世紀中頃
北フランスにトルヴェールと呼ばれる騎士階級が陽気で軽快な曲調の作品を作り、より音楽的技術(フレージングや拍節感等)が向上しました。
12世紀末頃
フランスの影響を受け、ドイツでもミンネゼンガー(愛の歌い手)と呼ばれる騎士階級が活躍しました。作品はドイツらしく、地味で重々しいものが多くあります。
14世紀頃
ドイツにマイスタージンガーが登場します。彼らは商人や職人等の一般市民で、時代的にはルネサンスにかけて活躍したが、音楽的には自由リズムで単旋律の保守的な特徴を持ち続けました。
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十字軍の騎士

騎士階級の人々とは十字軍の騎士達です。ヨーロッパのキリスト教を信仰する国々は、トルコ族に奪われた聖地エルサレムを取り戻そうと度々十字軍を遠征させました。1096年から約200年続いた十字軍の遠征は、結局は成功しませんでしたが、音楽や詩の才能に恵まれた騎士達が生まれました。のちに、吟遊詩人達は騎士階級の没落などが原因で衰退していきました。現在では彼らを総称して「吟遊詩人」と呼んでいるようです。

吟遊詩人の話

自分の知らない遠いところで、自分の知らない遠い昔にあった悲惨な戦争の話や、有名な騎士の死に至るまでの一生や、あの騎士とこのお姫さまは恋におちたけど別れたんだよ、と詩と音楽にのせて語る吟遊詩人は、芸人であると同時に、新聞やTVがまだない頃のニュースペーパー、「ワイドショー」のようにみんなワクワク待っていたのではないかと想像します。町から町へ、村から村へ吟遊詩人は渡り歩いたのでしょう。

いろいろな吟遊詩人

ひとくちに吟遊詩人といってもいろいろな吟遊詩人が世界中にいるようです

トルバドール Troubadour
12、3世紀ごろの中世はヨーロッパ。スペインに近いポワチエやトゥールーズから地中海に面するカタロニア、プロヴァンスまでの南フランスで、そのころ使われていたオック語で作詞した吟遊詩人。地中海的性格にイスラムの異教の影響が加わり、美と情熱にあふれる世界を展開しました。「アンジェリク」(ゴロン夫妻)のトゥールーズ伯爵ジョフレはこの遺産が残る環境で成長したのですね。
トルヴェール Trouvere
トルバドールの影響を受けて、こちらは北フランスのオイル語で作詞した北フランスの吟遊詩人。有名なクレチアン・ド・トロワの「アーサー王伝説」や「パルシヴァル」「トリスタンとイゾルデ」など、中世騎士物語を題材に「宮廷風恋愛」が花ひらきました。
ミンネジンガー Minnesaenger
ドイツの伝説や英雄の物語を歌った吟遊詩人。「ニーベルンゲンの歌」が有名ですが、ほかにも「グードルーン」とか「デートリヒ・フォン・ベルン」とかある。騎士たちのミンネジンガーのあと、ドイツでは15世紀ごろに職人たちが「詩人組合」を作って、だれが一番(マイスタージンガー)かニュールンベルクでコンクールをやったそうです。靴屋の親方ハンス・ザックスが優勝しました。
スカールド
ノルウェーやアイスランドのバイキングの吟遊詩人。特定の王様と行動をともにし、その業績を即興に歌うことを仕事としました。高貴な身分の出で、武芸にもひいで、戦場では王を守る親衛兵となりました。
バード Bard
吟遊詩人の老舗、アイルランド・ケルトでは吟遊詩人をこう呼ぶそうです。バードといえば「風の呪歌(ガルドル)」(あしばゆうほ 秋田書店刊)です。「クリスタル・ドラゴン」もケルト伝説をもとにファンタジーの美しさに歴史のリアリティを織り込んだ傑作ですが、番外編の「風の呪歌」は吟遊詩人が出てきます。ちなみに the Bard of Avon エーヴォンの詩人とはシェイクスピアのことです。
琵琶法師 Biwa-hoshi
祇園精舎の鐘の音~と「平家物語」を語って歩いた盲目の旅法師。琵琶もリュートの親戚です。

吟遊詩人の詩

時代が下ると「吟遊詩人」は職業として独立し、王侯貴族は自分の宮廷に専属の詩人をおくようになります。いい詩人を抱えていると、きっとその王様の名前も上がったんでしょうね。やがて詩は宮廷から町や田舎にも広がって、旅の吟遊詩人や芸人が生まれます。トルバドールが学識あるシンガーソングライターなら、その曲を歌うだけの市井の詩人はジョングルールJongleurと呼ばれたそうです。曲芸や熊踊りをみせる旅芸人という意味です。 吟遊詩人たちの詩は、十字軍の手柄話から弱い者や女性を守る、正義感、責任感を持つという「騎士道の精神」がメインでした。これは人々に多くの教育を与え、この精神は全ヨーロッパに浸透し、今日の西洋人の道徳基本にもなっているようです。

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